【バスルーム寓話】 おかざき真里
バスルーム寓話 (単行本)
おかざき 真里 (著)
【サプリ】、というとドラマ化されているし、漫画の方もジョージ朝倉などに引けを取らないぐらいにフィールヤングの稼ぎ頭な印象があります。
大き目の漫画ですから、実際に買ったことは無くても、漫画喫茶などで手にして、気づくと全巻一気読みしていた、なんて人もいるのではないでしょうか(私がそれです)
でも、この人も面白さは連載物も良いですが、短編で一層キラキラ輝くのではないか?と私は思います。
なので、ここは人気の「サプリ」ではなく、初期作品集の「バスルーム寓話」でいきます、ええ。
私がおかざきさんの漫画を初めて手にしたのは、「セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする」でした。
時期は女子高生で、丁度エロスに実践的な興味を持ち始める年頃でもあったので......
内容は全然、エロ優先ではありませんでした(当たり前)
女の子として生きてゆく上で避けられない性と生、そして死を、色鮮やかに感じた記憶があります。
とはいえ、こちらの方の作品、内容は結構うろ覚えだったり。
なんだかんだで一番印象に残っている作品はこの「バスルーム寓話」です。
◆OOKOFFで105円で買いましたっけ。
内容ですが、すべて読み切りです。
季節感として、夏の気配が感じられます。
おかざきさんは、今現在はあまり描かないようですが、初期の頃は魚の大群や紙テープの群れなどの描写が多く、その丁寧さと綺麗さには、思わず呼吸するのを忘れてしまうほどです。
1996年の夏休み
バスルーム寓話
夏草紙
拍手喝采ピエロ
4つの物語が掲載されていますが、みんな登場人物は半そでな印象があります。
個人的に好きなのは、代表作の「バスルーム寓話」より「拍手喝采ピエロ」でしょうか。
すごく悲しいけれども、美しいお話で、油断して読んでいたら不覚にも落涙してしまった思い出があります。
おかざきさんは、最近の作品ではあまり人の死生観を扱わなくなった雰囲気がありますが(「12か月」とかはまだ哲学的な死生観の気配はあります)、この短編集、人が死んでいないのは「バスルーム寓話」だけですね。
他の作品は、「1996~」は、主人公の兄(既に死亡)を偲ぶ為に集まった数人の女性達が、彼の話を語る物語です(どことなく構成は川上弘美の「ニシノユキヒコの恋と冒険」に似ていますね、そちらもレビューを書いてますので、気になった方はどうぞ)。
夏草紙も死人出るし、ピエロも死人出てます、わー。
かといって、安易に死に頼って感動を誘う感は無く、読者に媚びない雰囲気も、おかざきさんの魅力でしょう。
そして人が死なないからといって、後味が一番悪い(悪い意味ではなく)のは、代表作の「バスルーム寓話」だったりします。
(ちなみに、「バスルーム寓話」のお話は、別れた彼氏がペンギンに変身してしまい、それをお風呂で飼う元彼女の話です。ほーら、これを聞いただけで、もう「ああー!」ってなりませんか、そうですか)
「サプリ」も「渋谷区円山町」も人気が高い漫画ですが、私は「女性の繊細な心理を描くことに定評がある」と称されるおかざきさんの作品の中で、あえて好き嫌いが分かれるのではないか?と思われるこの作品を推します。
読み終わった後の突き抜けるような爽快感も無ければ、要所要所にファンタジー寄りとも思える描写が出てくる作品集ですが、それでも何だか腑に落ちて、腑に落ちるけど、何だか納得いかない!!といったやきもき感が癖になる一冊です。
おかざきさんの人気漫画が好きな人も、それがイマイチ好きになれない人にも、同時に薦めたい一冊ですね。
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